●骨髄移植日記(Day 57〜Day 65)


●Day 57  by お父さん

ウンチが大量に出ている。記録紙を見てもウンチのしるしが夜から今日まで何回かある。昼、お母さんが行ったときにも大量に出たらしい。300g以上だ。その後も夕食時、寝る前も出る。昼は普通便だったそうだが、夕食時はペースト状で寝る前のはGVHDっぽい便だ。U先生がきたので見せると、「消化不良に近いようですね、粘膜が崩れて出ているようではないようです」と言っていた。
プログラフが内服になったので心配だ。今日から内服、10:00と22:00の2回。夜は起こして飲ませるそうだ。ちょっとかわいそうだが、朝の採血で血中濃度を計るので、先々、外来になったときを考えて10:00に設定されたらしい。12時間毎なので夜はしょうがないけど、時間が難しいね。
夕食は、煮物のシイタケを食べた。めずらしい。パイナップルも少し残したが、「甘いー」と食べていた。煮魚の汁でご飯は全部。ゆっくりだったので18:00頃までかかった。おやつはなし。おなかが心配だったが、「ぎうにう〜」と言うので、100ccだけコップにもらい飲む。ストローをプープー鳴らして喜んでいた。トムとジェリーを見ながら19:20頃には入眠する。

●Day 58  by お父さん

プログラフが内服に変って2日目。特にGVHDの感じはしない。昼寝が長かったらしく、14:00頃、昼ご飯だったようす。ハヤシライスのご飯だけ食べていたらしい。夕食もあまり進まない。まぁ、昼が遅かったせいもあるが、17:30頃に切り上げさせる。
今日は、夏が風邪で保育園お休みなので、おばあちゃんにお願いする。蒼ちゃんはお母さんと友紀のところへ行く。友紀は、「お、にーちゃん、つくたー」と折り紙を見せてくれる。「ピングー」といいながらベッドの上を、その折り紙を歩かせて嬉しそう。後で、蒼ちゃんに聞くと、火鉢を作ってあったかくしてね、と渡したらしい。友紀にはそれがピングーに見えたようだ。とんがっているところが似ているのかね。友紀は、「お、にーちゃん、マーマー、いうてたねー」と嬉しそうだ。
今日は先生は忙しそうで何もお話できず。友紀は19:30に寝た。TVを消してやっと寝た感じだった。

●Day 59  by お父さん

14:40頃、友紀はお昼寝中。担当はYさん。「丁度2時ごろから寝てしまって」とのこと。昼食後は寝ずに遊んでいたそうで、Yさんにハサミで遊ばせてもらったよう。たくさん切り刻んでいた。イスに座りながら、突っ伏して寝たようで、ベッドでぐっすり。
ふうちゃんの様子でも見に行くかと廊下に出たら、Hさんに、「ゆきちゃん熟睡ですかー」と声をかけられた。ふうちゃんは外泊だった。
15:45頃、友紀、起きる。オムツを替えるとスッキリしたようであったが、機嫌悪い。「ねむいー、タオルー」とまだ寝たそう。「抱っこしようか」と言うと、やっと起きる。しばらく抱っこ。イスに座って、おひざに乗せてピカチュウを見る。眠そうだが、ビデオを見る。
夕食がきても今ひとつであったが、食べ始めると、パクパク食べる。おやつなしだったので、いい感じのペース。さばの味噌煮、煎り豆腐、ご飯+海苔(一袋しかなくて、もらってきてもらう)、バナナ1本、ほとんど全部食べた。麦茶は飲まず。17:20頃にはごちそうさま。今日は早い。
看護婦のNさんが通りかかって、「お、今日は早いね」と言われる。その後は、またハサミ遊びだ。18:00のおやつは、おっとっとと牛乳200cc飲む。ウンチは夕食後に出た。昼寝の前もたくさん出たらしいが、Yさんが「いいウンチでした」と言っていた。夕方のはやわらかくて形なし。準夜はTさん。見てもらう。
T先生は18:30に来る。丁度、パジャマにお着替え中。自分でボタンをかけているところ。「自分のペースを乱されると嫌なんだよね」と一言。少しお疲れの様子。他は何も無しで出て行かれた。友紀は昼寝のせいか、寝つきが悪い。まだ絵本を読みたそうだが、寝る体勢にもっていく。19:30、まだ寝ないが、ピングー1番を見ているので看護婦さんに任せて帰る。

●Day 60  by お父さん

おばあちゃん、蒼ちゃん、夏ちゃん、お母さん、全員で友紀のところへ行く。買い物してから少し遅く14:50頃。友紀は一人でハサミ遊び中。おばあちゃんと2人で病室へ行くと、友紀は、指さして、「お、ばーちゃんだ!」と覚えていた。
担当の看護婦さんが、今朝またオムツに血がついていたと、検尿テープでは+2、その後なくて、便か尿かは分からないそう。前回もあったので2回目。心配であるが、特にその他は変った様子は無いそう。
「蒼ちゃん来てるよ、お散歩しようか」と言うと、ぱっと目が明るくなる。ナースステーションでHさんたちにバイバイをしてロビーへ。友紀は本当に嬉しそう。リンゴジュースを飲んで、蒼ちゃんからポケモンのマリルをかりて満足げだ。部屋に戻るときもちゃんとバイバイしてくれる。
夕食は嫌がっていたが、食べ始めると食べる。マーボ豆腐全、春巻きは食べず、ご飯は2/3くらい、モモカン全。今日買っていった絵本を読んで過ごす。夕食後ウンチ。
18:10頃、U先生が包交とルート交換に来る。「サイトメガロの検査結果が待ちどうしいですね」と言っていた。ついでにパジャマに着替える。友紀は、寝ると思ったようで、「ちめたいのー」と氷枕を求める。「まだ(寝なくて)いいよ」というと、ぽろぽろと泣いてしまった。おやつとビデオで何とか気を取り直させる。牛乳は全、ケーキは2口だけ。”ティダリク”と”はっけんずかん”、トムとジェリーで19:40頃やっと寝る。結局、氷枕はせず、指が痒いようで、薬を塗っておく。

●Day 61  by お父さん

何と今日から外泊となる!! 木曜までだ。
サイトメガロは陰性だったようで、ホスカビル終了。プログラフの経口への切り替えもうまく行っている様で、めでたく点滴がなくなった。夏ちゃんが風邪なので遅らせてもらおうかとお母さんは先生に言ったらしいが、友紀が、「おうちおうちー」と言うので、先生も、「行ってらっしゃい」となったよう。
廊下でYさんに会ったら、Yさんが、「担当はHさんなんですけど、私も担当みたいにうれしいです」と喜んでくれた。婦長さん曰く、「先生が自信もって出せますと言っていた」と言っていた。
帰宅後、蒼ちゃん、夏ちゃんと遊び、お風呂も入った。キティちゃんのミニカーに早速乗って、後ろから夏が押していた。楽しそうだ。薬はたくさんあるし、経口プログラフは22:00で起こさなくちゃならないし、IVHのヘパ洗もある。気を使うけど、皆がいるってのは嬉しい。和室に布団を敷き詰めて修学旅行な気分で皆で並んで寝ている。このまま安定しておくれ。

●Day 62  by お母さん

今日はとっても良い天気!…だとあまり外に出られない。まだ、直射日光はダメらしい。だけど、友紀野も夏ちゃん(今日も風邪でお休みした)も、「外に行きたい〜」と玄関を指差して、びーびー泣く。しかたがないので、友紀に帽子をかぶせ、ウエストポーチを腰につけ、夏をベビーカーに乗せて、友紀に運動させるつもりでベビーカーを外へ出した。すると、友紀がベビーカーを指してふぇふぇ泣き声。友紀、歩こうよ、と言うと「いや〜」。結局、ベビーカーには友紀が乗り、夏は抱っこで、蒼ちゃんも一緒にお散歩。本当にいい天気だ。
ズーラシアにでも行きたい気分なんだけどなあ。お日様に当たっちゃいけないんじゃね。はじめ、右手でベビーかを押して、左手で夏を押さえて歩いていたが、だめだ。友紀野重過ぎる。あまり長く続けると右手をいためてしまいそうだったので、夏には申し訳なかったが、ウエストポーチの抱っこ紐を使用して、両手でベビーカーを押した。すぐにプログラフの時間だったので、わずか20分くらいの散歩だったが、こどもたちは少しは気が晴れたよう。帰ってからも、素直に家の中に入ってくれた。
昼間、3人ともうちにいるとやっぱり大変だ。おばあちゃんがいないと、きっと家の中はぐちゃぐちゃになってしまうだろう。私は子供たちにかかりっきりで、食事の支度が関の山。夏はやりたい放題で目が離せないし、友紀はわがまま言いたい放題。蒼ちゃんも妹達とけんかをし、しかも怒られるもんだからいじけてくるし…。でもやっぱり皆一緒がいい。しみじみそう思った。
病院に行かなくてもいいと、こうも違うものかと改めて思った。早く自由に外出できるようにならないかな。そしたらいろんなところへ行くぞー。せっかく免許も取ったし、今年一年遊べなかった分、取り返すよー!!
そういえば、昨日、友紀は点滴が外れたとたん、「おうち帰るー」と言ったそうだ。先生は、「ほんとに賢い人だね」と言ってくれていた。うんうんとうなずきながら、「外で新しい見聞を広めてきなさい」と友紀に言って、看護婦さんたちに「先生、難しすぎる・・・」と言われていた。
友紀の体調は特に悪いところはないが、少し咳が気になる。私の風邪が移ってしまったか。ひどくならなければいいが。皮膚はあいかわらず、耳や足の裏、背中の所々が赤く、少し痒いよう。散歩の後や、昼寝の後はほっぺも赤くなっていた。単に紅潮しているのではないと思う。ほっぺの輪郭に近いほうが赤い。便は少しやわらかめだが、形のあるのを少しずつしていたが、14:30頃まとめてしてからは出なかった。

●Day 63  by お母さん

夜中に「うんちー」と目が覚めてから、「えほん〜」「ピング〜」「えいご〜」「ちめたいの〜、まくら〜」etcで3時間。こりゃあたまらんと、3時頃テレビの前に二人で移動。ピングーをつけて、横になる。結局、4時半頃ピングー2本目の半ばくらいでやっと眠ってくれた。病院とお家の生活の時差のせいか、それとも久々のお家で興奮してしまっているのか…、早くリズムを整えないとこっちも大変だ。
6時半に起きたとき、おむつに血がついていたので、病院に電話。診ていただくことになり、2時少し前に病院へ。今までの尿中の出血では一番多かった(といっても微量だが)ので、心配したが、採血の結果、問題ないとのこと。出血性膀胱炎だと、おしっこがもっと真っ赤になるそうだ。白血球1万、血小板14万で良好。GVHDが酷くなると血小板が減ってしまうが、前回より増えているので心配ないそう。
お薬の内容が変った。ゾビラックスともう一つが無くなった。次回からプレドニンが10mg(今は11mg)になるそうで、減量したものが改めて出た。いいぞいいぞ!
新しいお薬を受け取り、おしりがかぶれてきたので(やわらかい便を頻繁に少量ずつするため)、無菌室の頃使っていたでっかいビン入りの薬も持って帰る。4時半頃には病院を出た。月曜日に退院できるかもしれないとのこと!

●Day 64  by お母さん

午前中はとてもよい天気で外出できずゴキゲン斜め。でも夏ちゃんがいないので、落ち着いている。夏がいると何かと張り合っていかん。昨日寝てなかったので、今日は夜もぐっすりで8時近くに目が覚める。起きたとき、友紀が使っていたイスに座っている夏を見つけて、「なつがすわってる〜〜」と泣いてしまった。
昼ご飯の後、天気予報どおり曇ってきたのでお散歩へ。自分では歩かず、ベビーカーにデンと座って。いきおいでいなげやまで行って買い物。急いで家に帰り、蒼ちゃんのお迎えも一緒に行く。
帰り道、神田公園で1m以上ある大きなヘビを発見!公園で草刈をしていたので出てきてしまったのか。しばらく、蒼ちゃん、友紀、私の3人で見入っていた。はじめ小川のそばの小道に横断するようにいたヘビは、にょろにょろとすすきの林のほうに進み、茂みに到達すると、木の枝に沿って上に登り始めた。けっこう首がまっすぐ持ち上がるので驚いた。友紀もいたく感動した様子。2時間半の充実した散歩だった。自分で歩いてくれれば言うこと無しなのだが…。
午後から便が大分ゆるい。夕方3時間昼寝。その後、3時間くらいの間に、7回もウンチが出た。ひどい下痢ではないが、数が多いので大変そう。発疹も増えてきた。

●Day 65  by お母さん

朝起きたときの尿に出血。今日はオムツに染込んでいる。尿も赤っぽく見える。2回目、3回目も同様。発疹も増えており痒そう。病院に電話。また行くことになる。
夏は昨日夕方38℃の熱。今朝も37℃あり、どうしようかと迷ったが、保育園の方に相談すると見ていただけるということで、午後2時に連れて行くことにする。蒼ちゃんは、今日はおイモ掘り。おばあちゃんに行ってもらう。
病棟に3時頃つくと、友紀は不機嫌。「おうち〜、かえる〜」とおとといとは全く違う様子。しかたがないので、抱っこで廊下を散歩していて、Hさんにプリンを出してもらい少し落ち着く。久しぶりのタカナシだ。
先生がみえて、朝のオムツを見てもらう。おとといと同じく、膀胱炎や尿道炎の場合は真っ赤なおしっこになるとのこと。オムツにはかたまりの血が少しついていたが、こういうのは膀胱炎などでは見られないらしい。発疹が多くなってきていること、おなかのゆるいのが続いていることから、プレドニンの減量は取りやめになる。
採血の後、先生は再び外来へ。薬と先生を待つ間、ちょきちょきで過ごす。4時過ぎ、「全く問題ないね」と言って先生登場。血小板15.6万、白血球10400、Hb13.6。GVHDの心配はないとのこと。皮膚のほうは「このくらいなら出たほうがいい。GVHDにしっかり働いてもらわないと。そうしないと、何ヶ月か後に再発ということがありますからね。」と仰っていた。
その後、IVHのフィルター交換、包交をしてもらう。その間、友紀は「おうち〜、くるま〜」と半べそ。先生は、「なにどうしたの。急に赤ちゃんになって。」一生懸命、「きれいきれいしたらお家帰るよ、慌てないの」となだめる。すると、友紀は、「ぺったんー、ぺったんー」と言い出した。どうやら包交の最後のペッタンを早くやれ、ということらしい。ペッタンの後、もとの量に戻ったプレドニンと塗り薬のリンデロンをもらい、5時ごろ病院を出た。

友紀野のタンポポ畑
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