●骨髄移植日記(Day 15〜Day 21)


●Day 15  by お父さん

夏ちゃん、蒼ちゃん、保育園と幼稚園に行く。おばあちゃんが蒼ちゃんのお迎えに行ってくれたそうだ。ありがたい。
16:50頃、入室。友紀、薬を飲まされて怒っている。お母さんから聞くと午前中はウンチがたくさん出たらしい。15:00頃にも大量に出て結局、お尻を洗ったらしい。お尻の皮膚炎症がひどくなってきていて軟膏シップをする。GVHDが消化管にも出てきたのか、溜まっていたのが出始めたのかまだ決められないと先生。続くようならパルス療法によるGVHD治療をはじめますとのこと。
お母さんと交代してからはウンチでない。18:00頃オムツを替えたが濃い色のおしっこ。ひょっとして水便か?とも思ったがお尻の様子からおしっこと思う。
友紀はすわっているとふうちゃんの部屋のテレビが気になる。ピングーをとめて3chにすると同じ番組なのでじっと見ている。天才テレビ君は視聴者参加のゲームがあるが、「げーむー、げーむー」と言って見ている。つまらなくなってくると「ピングー」だ。
熱は18:30で37.1℃。お着替えを嫌がる。パジャマを投げ捨てる。ピングーパジャマは何とか着てくれる。歯磨きは自分から綿棒を持ってやってくれる。ファンギゾンの吸入がもうきたので済ませてしまう。
準夜は茶髪の看護婦さん。ちょっといい加減な感じもするが、ゆきの様子を話すとちゃんと聞いてくれている。やっぱりみんな真剣だ。
今日からゾビラックスが内服になった。1日4回だ。朝昼夕寝る前。ゆきは今日も19:00頃から寝だした。もともと、夕方の薬が17:00近かったので、寝る前の分を遅らせてもらう。「夜、オムツ替えで起きちゃうので、その時にします」と看護婦さん。ゆき、嫌がらずに飲んでね。
先生によれば今日のWBCは500。上がってきている。CRPは5.お尻の炎症のせいもあるでしょうとのこと。少しせきと鼻水があるのと、時々、おえっと吐きそうで飲み込んでいる感じなのが気になる。血小板が輸血しても2000〜5000とのことで心配。VODの前兆として血小板輸血で上昇しないということがあると事前説明であったが心配だ。むくみも少し出てきているし。先生も右腹部を触診していた。ゆきが少し我慢していたが怒り出してしまったので、お腹に力が入って触診できなくなってしまった。VOD起きないでね。
先生は「フラグミンの量を増やしました」と言っていた。ビリルビン値はどうなのか聞かなかったが、いろいろ点滴も集約されてきている。少しずつ内服に切り替えていくようだ。CRPが上がったのとお尻の炎症もあり抗生剤を変えたそうだ。スルペラゾンとカルベニンになったよう。
友紀は19:20頃寝たので帰る事にする。お座りしていると疲れるようだ。横にさせるとすぐ眠くなった。

●Day 16  by お父さん

昼、お母さんから携帯に電話。何かあったかと思いながら話す。昨日の夜、友紀は下痢がひどかったらしい。夜中に大量に出たらしい。ビリルビン値も上がり始めたとのこと。まだステージでいうと0の値だが上昇している。パルス療法を夜中12時から開始したとのこと。水分調整のため(むくみ防止)、濃度の高いメチルプレドニゾロンを使ったためか、赤ルートのIVHが詰まってしまったらしい。幸いこの2日ほどで点滴が少なくなってきているので、1本でも何とかなるらしいがトラブルには違いない。GVHDかとお母さんは少し動揺したようで、友紀に会う前に電話してくれたようだ。
少々緊張しながら17:00頃友紀の部屋へ。丁度先生がIVHの修復にトライ中だった。途中から切断して新しいのを接合して、詰まった赤ルートに詰まりを溶かす薬品を入れている。結局1時間後くらいに再トライにきたときはすんなり開通!よかった。先生はパルス療法で下痢も止まったようだし、今日はいいことが多いですねと、よかったよかったという感じ。
友紀は今日もベットに起き上がって遊べる。昼には200ccポカリを飲んだらしい。昼寝も1時間。おやつにポカリ50ccとゼリー2口を食べたらしい。いいぞいいぞ。夕方からもウンチは出ず。利尿剤でおしっこが出ただけ。
パズルやアンパンマン、”だんごむしそらをとぶ”で過ごす。つめを切った。お着替えもパジャマを選ばせて自分で選んだのでスムーズ。歯磨きもOK。何だか緊張してきた割には安心した。
19:00頃、寝る前のゾビラックスを飲ませて横にさせる。眠そうになる。15分くらいで寝る。血小板輸血で上がらない点をVODの前兆か?と先生に聞いたが「むしろ、GVHDのほうでしょう。輸血でも凝集する場合もあるので、今のところはGVHDとみています」とのこと。「パルス療法が効いてよかったですね」とも。「こういうのは即やらなければ効果がないので」と言っていた。対処に感謝します。

●Day 17  by お父さん

高知のおばあちゃんに友紀、面会してもらう。今日の友紀は調子いいようだ。中から看護婦Kさんに説明されて、ばあちゃんとおとうさんと指さしている。僕を見ても泣かない。大分、気持ちに余裕が出てきたようだ。Kさんはよくしゃべる。今日の友紀は体拭きもお着替えも体重測定も問題なし。落ち着いている。ポカリも飲んでいるそう。
14:30頃おやつにゼリーとポカリを出してみる。友紀「スプーンはー?テーブルは?エプロンー?」と催促する。2口くらいしか飲み込まず。口には自分で運ぶが、ベーっと出す。自ら食べようとしているのでよしとする。ポカリ20cc。37℃台の微熱が続いているよう。昨夜、下痢が1回あったらしい。朝も出て、それ以降はない。今日、僕がいる間は出ない。ひどい下痢は止まったようだ。
Kさん、初めて友紀が入院した頃からの話題をいろいろ話す。薬を粉のまま飲んでいたこととか、うつむいて睨み付けて目をつむって誰も受け付けなかったことや、1西が慣れなかったこと、血液型が変ったら性格が変るかとか、いろいろおしゃべりをした。ファンギゾンの飲ませ方が下手だなぁと思う。1発目に多すぎ。友紀、べーっと出す。少しずつ入れて飲んでくれる。Kさんやさしくてにこやかだが、少し友紀への視点が甘い。
T先生今日も登場。土日も夜中もなく働いていただける。ありがたい。血小板は9000まで上がったのでこの数日ではよいほう。白血球はついに1000となったようだ。単球が60%くらいだそうだが初期はこのくらいらしい。網状赤血球も出ているので、「着いてきた感じですね」とのこと。ビリルビンも0.8と下がった。「しばらくは油断できないがGVHD今の程度で収まってくれればいいですね」言っていた。
友紀はずっとベットの上に座っている。テーブルによっかかっているが、お絵かきや絵本、アンパンマンビデオで過ごす。NHKを見る。少しずつ活力が出てきているので14:00からいると遊びネタに不足し始めた。今、入っている絵本はだんごむし以外はあまり気が向かないし、もう少し目新しいものを持ち込みたいな。
歯磨き、オムツ、パジャマ。今日から血圧を下げる薬も追加となる。友紀はちゃんと飲む。エライぞ。今日も18:30頃からトロトロしはじめるのでYさんに寝る前のゾビラックスを持ってきてもらう。ピングーを見ながら19:00から15分くらいで寝てしまう。最近はこのパターンだ。モルヒネを止めてからリズムが出てきた。いい感じである。朝も6:00には起きているようだし。夜のオムツも目を覚まさないそうで。ぐっすり眠れているようだ。皮膚のGVHDはだいぶきれいになっている。このまま落ち着いておくれ。
朝刊に骨髄移植ドナーの貧血を見落として前処置2日前に中止になったという記事が出ていた。他人事でないだけに、ふうちゃんパパともりあがってしまった。ドナーも患者もショック大きいだろうなあ。うちもそろそろドナーさんにお礼の手紙を出さなくては。

●Day 18  by お母さん

今日はお父さんが風邪気味だったので私がいく。14:00頃行くと友紀、少し眠っていたのか横になってとろんとしている。午前中は座ってビデオを見ていたそう。ポカリも飲んだらしい。便は朝1回たくさん出たらしいが、それ以後はなし。私がいる間もしなかった。
14:30ころT先生登場。利尿剤か何かを入れただけで長居はしなかった。「今日は白血球は1500。肝臓のほうも正常です」とのこと。「皮膚も大分きれいになったし、下痢も収まったし、全身状態はずいぶんよくなってきましたね」とのこと。「感染の管理も少しゆるくします」と言っていた。具体的に何をどうするかは不明。
友紀野、体調は良さそうだが少し元気がないというか、大人しい感じ。起き上がってピングーを見ている。途中から「SLマンー」と言うのでアンパンマンのビデオにかえる。
ファンギゾン吸入、薬を飲むのもこなしてくれる。ファンギゾンは何回かベーしたが、何とか最後まで頑張ってくれる。オムツ換えも嫌がらない。「おむつは?」と聞いて、おしっこが出ていれば自分から「かえるー」と横になってくれる。1時間から1時間半おきにオムツを替えたが、そのたびに50gくらいは出ていた。行ったときは少し顔がむくんでいたが帰るときはすっきりした感じだった。
おしりの皮膚も大分よくなってきたので薬を塗るだけでガーゼは当てなかった。手のほうはまだ赤みが残っていて皮が乾燥して固くなってしまっている。保湿にザーネクリームが出ていた。何度塗ってもよいとのこと。ザーネ軟膏、お尻の亜鉛系の薬は結構まめに塗った。友紀野は手の皮を剥きまくっている。熱は37.1℃、夕方36.3℃とほとんどない。
夕方1時間くらいお膝に座ってビデオを見た。ひざに乗せると「あったかいなー」としみじみ思った。私はとても嬉しかったけど、友紀野はどうだったのかな?無表情でビデオを見てた。「お母さんのお膝に座る?」と聞いたら「すわるー」と言ったので、嫌ではないと思うけど。
19:00頃少しいきむような感じだったが、うんちはなし。寝る用意をするが、友紀は寝たくなさそうで、べそをかいて「どこんこはりー」と言う。読み終えると、また半べそで「だんごむしー」と言う。読み終わった頃、またいきむ様子。ぶりっと音がする。「うんち出た?」と聞くと「うんちかえる、うんちかえるー」とこれまた泣き顔で言う。オムツをあけるとウンチはなかった。「ウンチ出てなかったねー。おならだった」と言いながらオムツを替えると、友紀も「うんちなかった。うんちなかった。」と言いながら目がとろんとしてくる。結局、オムツを替え終わるとすぐに(20:00頃)眠ってしまった。おならが出てすっきりしたのかな。

●Day 19  by お母さん

昨日に続き私のみ行く。友紀野、体調良さそう。機嫌は悪くないし、ビデオを見ながらお話もしている。だけど、昨日と同じくなんとなく大人しいというか覇気がないというか、感情の起伏が見られないというか・・・。金曜日には声を立てて笑ったりしていたのだが。それは見られなくなってしまった。
夕方先生がみえたときに「どうですか調子は」と聞かれた。「痙攣なんかないですか」と言われたので、昨日、ゼリーを食べようとしたときに少し震えていたことを話す。先生「ああ、やっぱりね。何かをしようとすると痙攣するんですよ。お年寄りにも見られるでしょう。」先生、やっぱり出てきたか、という感じ。特に慌てた様子はなし。プログラフの副作用によるものだ。「プログラフをやめれば治るんですよね」と聞くと、「はい、治ります。でも、今止めるわけにはいきません」とのこと。治ると分かっていても脳のことだけに心配。
この際に「体調は良さそうなんですけど、なんとなく元気がないというか、大人しいというか・・・」と言うと、「それはステロイド剤のせいでうつ気味になっているんでしょう。」とのこと。プログラフの血中濃度が上がってもそういうふうになることもあるとも言っていた。明日から抗痙攣剤を入れ、プレドニンの量を少し減らすそう。
今日は精密なカウントで白血球1350。「昨日のはアバウトなのでほぼ横ばいでしょう」ということ。ビリルビンは1.0。下痢もないし調子は良さそうだが、血小板が上がらないのが気がかりですね、と仰っていた。今日も血小板輸血が夕方から入った。
昼の担当はHさん。「先生に担当なのに入ってないねぇって言われちゃいました」と言っていた。確かに。でもいるときはとても気にかけてくれている。「今日のご飯は何かなー」ととなりの部屋を見ていると、Hさんが「友紀ちゃんもゼリーか何か持ってきます?」と言ってくれる。すると、友紀、「ごはんー。」「ご、ごはん?ゆき、ゼリーにしよっか。」と言うと友紀べそをかいて「ごはんー!」。「じゃ、ごはんだけ貰って来ますね」とHさんがとりに行ってくれる。友紀野、テーブルを出し、エプロンをつけ、手を拭いて万全の体勢で待っている。しばらくかかってHさんが「今日はおいもごはんでしたー」と登場。あ、だめかな?と思ったらやっぱり。全く口にしない。スプーンを持とうともせず。今日はポカリも飲まなかった。この後ゼリーも「いやいや」。白いご飯だったら食べてたのかな?それとも、いざ目の前にするとやっぱり食べられなかったのかな。残念。まだ、ご飯を再開するのは早いようだな。

●Day 20  by お母さん

昨日からの大雨で、今日は名古屋が水没!名古屋のおばあちゃんの住む団地も一階は床上浸水。車は屋根が見えるだけとなってしまったらしい。観測史上最高の降水量だそうだ。「名古屋のおばあちゃんのとこ大変なんだよ」と友紀野に言うと、目を丸くして聞いている。一生懸命、友紀に理解できるように説明する。友紀、じっと何も言わず、でも私の目をじいっと見て聞いている。「ゆき、分かる?」と聞くと、なんとなく心配そうな表情で、「高知のおばあちゃんはー?」と聞いてきた。すごいな分かってるのかな。高知のおばあちゃんのほうも心配してくれてるんだ。「高知のおばあちゃんのおうちは大丈夫だよ。雨は降ってるけどそんなにたくさんじゃないんだって。」と説明する。友紀野は、「高知のおばあちゃん、だいじょうぶー。あめ、ざーざー、名古屋のおばあちゃんー。」としゃべっている。
と急に「パパ、パパ」「あ、おとうさん?」「おとうさんはー?おとうさんはー?」今日もお父さんは風邪気味で、念のため来ない。「お父さんはね、お喉が痛いんだって。お風邪引いちゃったみたいなんだって。友紀に移るといけないから今日はお母さんだけね。」「おとうさんはー、のだ、おとうさんはー。」と友紀。「今はね、会社でお仕事してるよ」「おとうさん、かいしゃー、おしごとしてるー」と一生懸命言っている。そうかそうか、お父さんに会いたいね。明日はきっと来てくれるよ。
今日は、WBC1600、Plt 24,000、ビリルビン1.0、CRPは0.6、順調。

●Day 21  by お父さん

のどの腫れも引いたので今日は友紀のところへ行く。16:50頃、プリンを食べている。半分くらいか。今日は眠いようで、何となくボーっとしている。薬のせいかもしれないが。
おばあちゃんに買ってもらった絵本”もこ もこ もこ”と”はっけん図鑑むし”を読む。友紀は”もこ もこ もこ”はもう覚えているようで、開くと「しーん!」「もこ!」としゃべっている。”はっけん図鑑むし”も楽しそうだ。
新しく仕入れたアンパンマンのビデオ、ホラーマンのを見る。なぜか友紀はホラーマンが好きだ。あまりはしゃぐことはなく、大人しく過ごしている感じ。
準夜はHさんだ。「大分よさそうですね」と話す。T先生も処置はなかったがわざわざ入って見えて、しばらく座り込んで話した。久しぶりに行ったからかな。「来週中くらいには好中球が500を越えそうなので、そしたらBランクにしましょう」とのこと。
ビリルビン0.8、CRP0.3、Plt47,000とだんだんよい値になってきている。せきがあるのが気になる。サイトメガロアンチゲネミア検査をしてあるそうで、一両日中に結果が出るそうだ。陰性であって欲しい。
19:00頃、テーブルに友紀もたれてビデオを見ているので、「もう寝ようか」と言うと、「うんちー」と言うので、見ると出ていた。粘液状のが100gくらい。喉が乾いたらしく、「ポカリ」とリクエストあり、飲ませる。40cc飲む。歯磨きを済ませ、ゾビラックスも飲ませて寝かせる。ビデオが終わるまで頑張って起きていたが、19:50頃入眠。
確かに元気がない感じはする。久しぶりに見たせいか、少し丸くなった。ステロイドのせいか?むくみではないとのこと。皮膚は大分きれいになっているが、手の皮剥きがひどい。まだ赤い。

友紀野のタンポポ畑
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