●骨髄移植日記(Day 1〜Day 7)


●Day 1  by お母さん

今日の昼の担当看護婦さんはKさん。たくさん遊んでもらっていたよう。先生が昨日、「明日あたり高熱が出るでしょう」と仰っていたので心配していたが、熱は36.7℃。「朝起きるのが遅くて、朝食食べられなかったんですけど、今日はとても機嫌がよくて、絶好調です。」とKさん。
昼食はロールパン1個のみ食べた。水分は取らず。夕食は肉団子を2個くらいとご飯を3口、ポカリ少々。
夕食のちょっと前、少し気張っていて、「ふぇ〜ん」と少し泣き声をあげる。お腹が痛そう。この時は結局便は出なかったけど、心配。明日あたりから辛くなってくるのか。今日のところは痛そうにしたのはこの時だけで、その後は普通にしていた。T先生が夕方みえたとき、「さっきお腹が痛そうにしてました」と言ったら、ちょっとうなずいて、ま、そうでしょうね、といった雰囲気。それについては特にコメントなし。溶血はあまり起きておらず、Hbも12あるとのこと。とりあえずよかった。このまま特に何もなく定着しますように。先生、今日も「待ちましょう」と言い残して部屋を出る。
友紀野が夕食の前に、「とんとんパーする」と言うので、やって遊んでいたら、私が顔を近づけたときにキャップを取りたがって困ってしまった。しょうがないので、廊下からもう1つキャップを取ってきて友紀野に渡す。喜んで、ちょこん、とそれをかぶる。嬉しそう。頭のてっぺんに乗せるようにかぶっていたら、先生が来たときに、「ん、なんでそれかぶってんの。こうやってかぶるんだよ」と言って、髪・耳が隠れるように深くかぶせる。友紀野、ムッっとする。先生お構いなし。「こうやってかぶるんだよ。」と駄目押し。友紀野、さらにムムッ!その後、先生が去った後も機嫌が悪いので(眠いせいもあったと思うけど)、「もうこれぬぐ?」と言ってキャップを取ってやると、少しすっきりした様子。
「パジャマどれにする?」と見せると、「ピングー」とにこにこ。パジャマを広げたら、「ピンガー」とピンガの後姿を指さして嬉しそう。着替え、歯磨きと一通りのことをして5:45に部屋を出る。いつものように帰る時は無視。今日もお昼寝しなかったから、お母さんが帰ったら、ぐっすり眠りなさい。

●Day 2  by お母さん

下痢が始まった。でも、私のいる間は、13:50に1回しただけなので、まだそれほどひどい下痢ではない。形状はファンギゾンがそのまま出てきた、という感じ。便意のあるときはかなりお腹が痛そうな表情だが出してしまえばビデオを見て笑っているので少し安心。他は特に問題は無いそう。Hbは12をキープ。熱なし。CRPは下がっているとのこと。よかった!
昼食はラーメンで、一時間半くらいかけて1/2くらい食べた。デザートの杏仁豆腐は、「なぁに?」と言いながら少し口にしたが、その後はつぶして遊ぶ。夕食は眠いのと少しお腹が痛いのもあったのか、見せると嫌がって半べそ。全く手をつけず、薬だけ飲ませて、歯磨きをして、私は病室を出る。
今日の担当はHさん。お久しぶりです。私の体のことを心配してくださっていた。友紀野のところへ行く直前に廊下で昼食を食べるから、部屋に入った後しばらくかなり眠そうにしているせいだろう。大丈夫です。お昼ご飯の後は眠いんですぅ〜。
本日の遊びは、おもちゃがベッドの上においてなかったせいか、ずっと絵本。でも、「○○読むー」と言って読み始めても、ビデオを見たり、隣の部屋の様子を見たりして、ちっとも聞いてないので、途中で本は片付けて、手を拭く紙タオルにボールペンでお絵かきをして遊ぶ。久しぶりだったせいか、とっても楽しそうだった。春巻きぼうやがお気に入り。Hさんに「これ、だれ?」と聞かれると、「はる まき ぼうやー」とちゃんと答える。名前も覚えている。「ありがと、ぱり!」がお気に入りのセリフ。”アンパンマンと春巻きぼうや”の話は結構面白い。
アンパンマンのビデオの後、ピングーに変えると結構見入っていた。ピングーが大きい子にボールを取られてボールがつぶれて家に帰った後パパとママに泣きついて甘える話があるが、これを見て、友紀野も抱っこして欲しくなったらしい。少しの間だけひざに抱っこでビデオを見る。すぐに先生がIVHのフィルター交換と傷口の消毒に見えたので、ほんの10分くらいだったけど。個室に入ってから初めての抱っこだったので私も嬉しかった。

●Day 3  by お父さん

今日は、名古屋のばあちゃんに夏と蒼ちゃんを任せて、お母さんと二人で面会に行く。14:10頃病室へ。ゆきはお昼寝していなかった。看護婦さんはYさん。「お父さん、お母さんそろって良かったね」と言われる。ゆき、嬉しそう。
昨日の夜は少し熱が出たらしいが、今日は大丈夫。「食欲は無いですね」とのこと。昼食は取ってありますと言われたので、14:00のおやつと一緒にゆきに見せる。「食べたいものだけでよいですから」とのアドバイス。結局、イチゴアイスを半分くらいと、豚汁の豆腐一切れのみ。歯磨きをし、ビデオとパズル。絵本も少し読む。
友紀は「ピングー見る」というがガラス越しにみえる隣のしーちゃんの部屋のビデオでやっているアンパンマンが気になってそっちを見ているので、「アンパンマンに変えようか」と聞いても、「ピングー いい」と言う。
夕食も「食べる?」と聞いただけで、いやいやとなる。少し気持ちが悪そうにみえる。でも薬はちゃんと飲む。えらいぞ友紀野。
抱っこして欲しそうなそぶりをするので、クリーンウォールに近いところでおひざに乗せる。友紀は何だか照れているような笑い。ぎゅっ、としてあげるととても嬉しそうだ。こちらも嬉しい。
夕方まで先生は現れない。結局帰宅するまでいらっしゃらないので今日は先生の話はなし。
友紀は眠そうだったのでパジャマに着替えてピングービデオにする。アイスノンを取り替えて横になる。トントンして頭をなぜていたら寝てしまった。寝る前に薬を飲ませておいてよかった。夕食がとれないと食後の薬のタイミングがとれなくて困るな。引継ぎ時間なので、その辺、看護婦さんに気を使って欲しいね。
久しぶりに19:00には寝てしまったので、お母さんと二人で病室を出る。「少し戻しそうな気配でした」と看護婦さんに伝えて帰宅。お腹痛くならないといいね。

●Day 4  by お父さん

13:50頃、病棟に皆でいく。名古屋のばあちゃんと私とでナースステーションから友紀野を見る。お昼寝している。起こすのはかわいそうなので一旦出る。14:50頃、再びナースステーションへ。友紀ちゃん起きる。泣き出しそうなので慌てて入室。ばあちゃんは窓越しのまま。友紀、泣いている。看護婦さんがインターホンで「お父さん、今ガウン着てるからね、もう少しだよ」と励ましてくれる。急いでベットへ。ばあちゃんがインターホンで励ましてくれる。
ばあちゃんが帰ったところへ先生が来た。看護婦のOさんと話している。口内炎がひどくなってきているので経口薬はファンギゾンだけになるそう。あれ?バンコマイシンはどうなるのかな。ちょっと心配。
友紀野が泣いているので先生が「どうしたの?」と聞く。Oさんが「処置しようとタオルケットめくっただけで泣いちゃってー」と。先生「んー、痛いのかな。痛い?」と友紀に聞く。「痛み止め使ってあげて」と言い残していく。
「明日からはモルヒネ使っていきますか」と言っていたが、2回目に先生がきたときは「便があまり出ていないので、もう少し痛み止めで進めましょう」とのこと。モルヒネは便秘になるからね。
痛み止めが効いたのか「起きる」と友紀が言うので、おむつ交換し、絵本とビデオ。おひざに抱っこ。しばらく遊ぶ。薬のせいでトロトロしているのだが、夕食も一切受け付けない。Oさん「ゼリーかヨーグルト探してきます」といって出て行くので私「あれ?ヨーグルトは禁食なんじゃ?」と聞くと「あ、そうでした。」おいおい。
友紀、ゼリーを自分から食べたがる。よかった。が、一口で終わり。後は寝てしまったので、18:10頃、担当のHさんの勧めで早めに帰宅する。ゆっくり寝てね。T先生は「発熱もなくて順調です今のところ少し安心ですね」といっていた。

●Day 5  by お父さん

17:00頃、お母さんと交代する。友紀、かなり辛そうで泣いている。夕方の薬を飲みたくないらしい。口内炎がひどくなっている。痛み止めを入れてもらう。30分くらいで落ち着き、唾も飲み込むようになり、ビデオも見だしたので、薬をすすめる。今度は落ち着いて飲めた。嫌がってはいるが、いつものようにがんばって飲んだ。19:00頃には寝たので部屋を出る。
1Fロビーで飲み物を買おうとしていたらT先生がやってきた。30分ほど立ち話をする。ノイトロジン(G-CSF)の投与はしばらく見合わせるとのこと。Day0からこれまで熱が出ていないので白血球を慌てて増加させることもないためとのこと。抗生剤で熱がコントロールできるうちは使わないそう。使って、もし残存している腫瘍細胞が増殖してしまうと大変なことになるのでそれを避けるためだそうだ。
その他、ルークトークで話題になっていた血小板ドナーを家族が集めなければならない病院の話や医者の権力や学会での評価がえてして高いものだが患者にとってよいとは限らない医者とか、いろいろ話をした。T先生は前からそうだと思っていたが、良心的な方だ。権力を嫌うひたむきなお医者様だ。友紀野はT先生に出会えて本当によかったね。

●Day 6  by お父さん

16:45頃、お母さんと交代する。友紀ちゃんは昨日よりもつらそうだ。呼吸が苦しそう。喉にネバットしたものがたまっていてゴロゴロいっている。口にたまった唾を吐き出させようとするが、怒ってしまう。ファンギゾンはがんばって飲んだが、ずっと寝ている。体がつらいのだろう。ビデオは少ししゃべりながら見ていた。痛み止めが効いているときは少し楽なよう。
息が出来ないんじゃないかと心配になって看護婦さんを呼ぶ。処置にきたT先生にも質問するが、これくらいならまだ大丈夫とのこと。辛そうなんだけどなぁ。呼吸管理が必要なくらいまで粘膜障害が出る場合もありますとは言っていたけど心配である。
19:00頃、ほとんど寝ていたので帰ろうかと思っていたら、看護婦のOさんが「体を横にしてあげましょう。たんが出やすいように。」とタオルを巻いて枕にしたのを友紀の右に入れようとしたら、友紀野、大泣き。何かされるのがとにかく嫌なようだ。アイスノンを替えて気分を変えさせる。30分くらいトントンして入眠する。「息の具合を注意してください」とOさんにお願いしておく。

●Day 7  by お父さん

16:45頃、お母さんと交代する。友紀野、更に辛そうだ。今日も泣いている。口の中の唾、タン、粘膜がたまっているが、それを吐き出そうとしない。出させようとしても大泣きで抵抗する。体を横に向けさせるのだけでも体を突っ張って大泣き。その時も口の中はガラガラ、ゴロゴロとたまった液体をやっている。涙を拭いても嫌がる。おむつもダメ。16:00からの定時投与の痛み止めは入っているらしいが、それで眠くなってしまったせいか、全然受け付けない。とにかく寝かせるしかない感じ。
別の痛み止めを入れてもらう。30分くらいで少し楽になったようにみえたので、声をかける。寝てはいないようだ。ファンギゾンを飲ませる。準夜の看護婦さんと励ましながら、少しずつ飲む。我慢強い子だ。薬を飲み込むときに、口にたまった液体も一緒に飲み込むので、少し口がさっぱりするようだ。表情が和らぎ、眠る。寝てくれたのでホッとする。
19:00頃眠りが浅くなり、また口をあけてガラガラ、ブクブクやりながら大泣き。辛そうだ。T先生が利尿剤を入れにくる。どっと出たのでおむつを替える。友紀、タオルケットをめくっただけで怒るがしょうがない。オムツを替えてズボンだけパジャマにする。氷枕を看護婦さんに変えてもらい横向きにして寝かせる。
寝てるような起きてるような感じ。口から漏れ出てくる粘液をふき取っていたが、20:00近くなってきたので帰ることにする。看護婦さんにお願いして部屋を出た。そういえば、となりのBランクにふうちゃんが入っていた。しーちゃんと同室だ。
T先生は「メソトレキセートをDay6に予定通りいれたので、粘膜障害がひどくなったのでしょう。」と言っていた。下痢があまりひどくないのはいいことなのか、ひょっとして残った白血球があって粘膜を守っているのではないか?と質問したら、「それはないです」とのこと。「個人差がありますから、この方の場合、上のほう(気道、口)に強く出るようですね。」と言っていた。どちらがいいというわけではないが、息苦しそうなのは見ていて辛い。
今日、顕微鏡下で、白血球が30個くらい見えたそうだ。

友紀野のタンポポ畑
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