骨髄移植日記(Day -7〜Day -1) 前処置
Day -7 by お父さん
全身放射線照射(TBI)初日。いよいよ前処置が始まった。
13:30に私の従兄弟の千穂ちゃんと旦那の太郎君、そして名古屋のばあちゃんが面会する。今日からAランクと聞いていたのだが、友紀野はまだ大部屋にいた。ファンギゾンの吸入などが始まる。皆にAランク個室がどんなところか見てもらう。
午前中、蒼ちゃんは太郎君と千穂に連れられてズーラシア(横浜の動物園です)に行ってゴキゲン。
ばあちゃんが16:00頃の新幹線で帰るので太郎君たちに送ってもらう。
15:30からのTBIの2回目は、お母さん、夏ちゃん、蒼ちゃんと4人で友紀野を見送りした。友紀野は蒼ちゃんを見つけて指さしていた。終了後、病棟に入る前に看護婦さんから「(Aランク個室に入ってしまうので)しばらく見られないから、見ておいてね」と言われ、TBIのために薬で眠っている友紀野を蒼ちゃんと夏ちゃんに見せる。励まして個室に入る。
Mさん(次男のふうちゃんがAML)のお母さんが「どうでしたか?」と心配してくださる。ありがたい。
お母さん、蒼ちゃん、夏ちゃんは帰宅。私は初めてAランク個室に入る。看護婦さんから入り方や個室内のいろいろな手順などを説明してもらう。
友紀野は19:00頃まで目が覚めず、起こしてみたところ、「食べる」と言うので、夕食を準備してもらった。今日はTBIのため朝・昼と禁食なので、ガツガツと食べる。マーボ豆腐、かに玉、桃缶、ご飯も全部。おやつも一緒に口に入れる。よっぽどおなかがすいていたんだろう。T先生が「科学的な根拠はないですが、よく食べる子は移植がうまくいくことが多いです」と言っていた。うれしい。
20:30頃までいろいろかかったが、後は看護婦さんにお願いして帰宅することにする。TBIで眠らされているから、夜寝られるだろうか心配だ。T先生は特に問題ないですねとのことだった。
Day -6 by お父さん
T先生よりWBCが4万まで下がったと連絡。土曜の抗がん剤を入れる前にこれまで下がったのはいいこととおっしゃっていた。腎臓も大丈夫なので今のところ合併症はない。肝臓、心臓、肺、腎臓、すべて問題ないとのこと。WBC下がってきて同時に貧血が進み始めたとのこと。白血球がらみの幼弱な赤血球も多かったのでこれが減ったために一緒に下がったらしい。
14:20入室。友紀野元気。”だんごむしそらをとぶ”を読み、ビデオを見てゴキゲン。おしゃべりも多い。
4回目のTBI。戻ってきて16:30頃、一時間くらい寝かせ17:30頃起こす。ふらふらだ。棚にぶつかってしまう。ポカリを飲む。夕食を手づかみでガツガツ食べる。飲み込む前に次を入れるのでモグモグできない。のどに詰まるといけないので、ほじくり出して食べさせる。ご飯、魚、イモ、洋ナシ、とにかく食う。朝・昼の禁食が辛いようだ。夕食、足らないようで怒る。すぐおやつを持ってきてもらう。マリービスケットだ。ゆき、「ティッシュ」と何度も言う。「あぁ、お皿がいるのね」と看護婦さんに持ってきてもらう。ポカリ少々。
この前後、夕方の薬をいろいろ飲ませたのでゴキゲン悪し。眠さも戻ってきているためか、薬を飲み込もうとせず少しこぼれた。アイスノンを換えてもらい落ち着く。パジャマのお着替え、歯磨きをして19:00頃、丁度いいので寝かせる。昨晩は眠れたそうだ。今日も大丈夫かな。
Day -5 by お父さん
TBI 3日目。今日で終わり。WBCは1万まで下がった。ヘモグロビンが7まで下がったので貧血防止のため赤血球の輸血となる。
午前、私は免許の書き換え。10時過ぎに終わり会社へ。お母さんが12時頃友紀のところへ。なつ、そうちゃんは久しぶりに保育園とピテロ(幼児保育施設)。17時頃に私がゆきのところへ行く。入れ替わりでお母さんが帰る。
ゆきは18:40頃に「おむつ換えようか」と呼びかけたら起きる。昨日ほどフラフラではない。夕食を持ってきてもらって今日もガツガツ食べる。アスパラとニンジンの肉巻きが喉につかえてもどしそうになる。慌てて食べるからだ。口からほじくり出して細かくして再び食べさせる。とにかく次々と口に入れないと泣き出すほどの食欲。昨日のこともあり今日はご飯が2杯も用意されていた。さすがにおかずもなくなってしまい、2杯目は1/3くらいでごちそうさまとなる。ポカリを150cc、50ccと飲み、薬も全部ちゃんと飲んだ。えらい。先生も腎臓は大丈夫ですと言われて安心する。19:00には寝そうになかったが、オヤスミの準備をして帰宅する。
Day -4 by お父さん
化学療法開始。VP-16(べプシド)。14:15頃に2東着。Mさん両親と会う。ふうちゃんはアイスを食べている。少し立ち話し、ゆきの移植について、移植日に沖縄から空輸、台風に備えて2日前に取りに行って帰りも1日遅れても大丈夫なスケジュールになっていることを話す。ふうちゃんパパ曰く、「こんなときこそ自衛隊が飛んでくれないですかね」。思わず三菱関係にお勤めですか?と聞いてしまった。違ってた。鎌倉から五反田まで通っているらしい。ディスプレイ関係のメーカとのこと。化学療法の話をしたら奥さんに詳しいですねと言われる。T先生が詳細な説明資料をくれたのでと話す。T先生は、ふうちゃんにも声をかけているとのことで、「なかなか進まないねぇ」と。ふうちゃんは、耳下のリンパに膿がたまっていて1回目の地固めが延びていた。2回目は髄膜炎で延びてしまっていた。早く進めるといいね。
ゆきは変わりなく普通に元気。特別ムラ気もなく、ドラえもん貯金箱やままごとで遊ぶ。14:30桃ゼリーを全部食べる。夕食はあまり食べない。鳥の照り焼きを半分くらい。桃缶は全部食べた。ふりかけご飯は全く食べず。オレンジジュース少し。絵本を読む。
”だんごむしそらをとぶ”を読んでいるときにT先生くる。IVHの傷口が乾いていないので保護ビニールをやめガーゼに昨日からしている。夕、朝と消毒。今日はイソジンジェルとする。だいぶ乾いてきたのでいい感じとのこと。皮膚のかぶれや傷口のジクジクなどから皮膚や消化管の反応が強く出るかもしれないと心配されていた。そう言われると心配だ。
検査数値的には今日も問題ない。アルブミンが4以上だったのが3.6に下がったので糖分を補液に少し入れたとのこと。ただ、WBCが17万→15万→4万→1万→3千(本日)と急速に下がっているので検査で見えない負担が掛かっていて当然と考えるべきとのこと。少しでも影響が少ないといいのだが。
そうそう、T先生はだんごむしはキライだそうだ。
夜のおやつ(おっとっと)はあまり食べない。「おやつ食べる?」と聞いたとき「ビスケット?」とゆきが言っていたのでお気に召さなかったよう。ポカリも30〜40ccくらいで終わり。19:00近づいたのでお着替え、歯磨きをする。ピングーのパジャマにしたらゴキゲンな顔になった。「ピングーとピンガーいるねー。一緒にねんねー」と少し嬉しそう。まだ起きていたが看護婦さんに任せて帰宅する。
ヘモグロビンは昨日7.6.赤血球輸血したので今日は11.2だった。しばらくは大丈夫だ。べプシド終了後、血小板輸血すると先生が言っていた。
今日の日勤の看護婦さんはYさん。「何か心配事があれば、ゆきちゃんのことだけでなくお父さんさんお母さんのことでも何でも言ってください」とのこと。「看護婦みんな一生懸命やりますから」と使命感たっぷりの言葉だった。本当にありがたい。
Day -3 by お父さん
化学療法2日目。エンドキサン10:00から1回目。22:00から2回目とのこと。昨日血小板輸血したのに今日はPlt.15,000。T先生「急遽血液センターに頼み込んでサイトメガロウイルス陰性AB型の血小板を取り寄せました。17:00以降到着予定です」とのこと。何故、血小板が低いのかは聞かなかったが回復を願う。ヘモグロビンは11.6で問題なし。出血性膀胱炎を警戒しておむつにガーゼを一枚入れておしっこの度に潜血チェックをする。なるほど細かいチェックだ。
ゆきの機嫌はよい。パズルで遊んで笑っている。14:15頃入室時、ファンギゾン吸入を頼まれたが追加で持っていったおママゴトのおもちゃを消毒していて、Yさんにやってもらう。服とパジャマを整理していたら、ゆきが泣き出してしまったのであわてて吸入中に励ます。少し落ち着き、涙を浮かべていたがちゃんと吸入をする。しまった、ゆきの側についてやらなくてはと思った。どうしても手順を追ってしまうところがいかんね。
その後、桃ゼリーを全部食べる。夕食はチキンカツは全部、カボチャは2/3で後はほとんど食べず。朝も一口くらいで昼は好きなものを少し食べたよう。Yさんは、「食事を喜んではいるので大丈夫だと思います」とのこと。口内炎ではないので今のところはいつもの偏食といった感じだ。
アンパンマンのビデオをいくつか用意してやりたい。コピーして1本にしたほうがいいかも。お絵かき道具もほしいな。
今日のWBCは900。いよいよ下がってきている。T先生は、薬剤耐性がなくてよかったと言っていた。そういう点では順調に前処置が進んでいる。熱も36.3〜6。笑ったり声をあげたりしゃべったり。見た目も変わりなく、平常的な流れ。薬が多いのはかわいそう。バンコマイシンも苦いのにがんばって飲んでいる。
夜は19:30頃看護婦さんと交代してもらい帰宅。ゆきは”だんごむしそらをとぶ”読んでもらいながらねんねの準備。20:00の薬はちゃんと飲んだだろうか。
帰り際、Mさんのパパと話す。「明日からずっと会社休みとって?」と言われた。できればそうしたいが、うーむ。やらねばならない仕事があるし、まずは出社かな。Day 0は午後休にしよう。来週は早退作戦かな。タクシー代かさむけどなぁ。
Day -2 by お母さん
化学療法3日目。エンドキサン。血小板輸血。T先生とはガラス越しに挨拶はしたが話はできず。特に問題はないらしい。が、食欲は全くなし。朝はご飯を見ただけで泣き出したらしい。昼はチキンライス2〜3さじと、ベーコン&玉ねぎスープの汁のみ。おやつにオレンジジュース2口。夕食のぶりの照り焼き3〜4口のみ。ポカリも11時頃から昼食にかけては少しずつ飲んでいたようだが、その後は欲しがらない。体温37.0℃。
昼は看護士のMさん担当だったが、昼食中に行ったら、別の看護婦さんが食べさせてくれていた。聞けば、朝、マスクやガウンに身を包まれたMさんを見て、友紀野はお父さんさんだと勘違いしたらしい。大喜びしたのに、一言声を聞いてMさんだと気づいて大泣き。それから全然しゃべってくれなくなってしまったとか。でも、私が行くととたんに機嫌がよくなり、よくお話しだした。看護婦さんが「今まで黙ってた分、一気にしゃべりだしたね」と言っていた。その後も機嫌よく本を読んだり、ビデオを見たりパズルをやったり、ポイポイしたりして遊ぶ。4時頃から眠くなったのか、少し不機嫌になり、横になってアンパンマンのビデオを見る。私が行って落ち着いてからはMさんが友紀野担当にもどる。「自分だと慣れてないせいか、ゆきちゃんしゃべってくれなくて・・・」とMさんちょっと悲しそう。どうもすみません。
夕食を片付けてからもう帰らなくちゃと言うと、そそくさと寝そべって「でんき〜、でんき〜」と言う。結局、歯磨き着替えをして電気を消してから5時ごろ出る。出るときは、Mさんに素直に血圧を測ってもらっていた。
Day -1 by お母さん
治療はお休み。血小板輸血。高カロリーの点滴が始まった。出血性膀胱炎の方は、もう心配ないらしい。潜血チェックもなくなっていたし、多量の点滴も今日はなし。白血球は300。明日、骨髄検査をするそう。
友紀野、とても機嫌がよい。本を見たり、ビデオを見たりしてよくしゃべっている。あいうえおボードをわざと落とし、音が出なくなる。買ったばっかりなのにっ! ゆきもちょっとばつが悪そうだった。
やはり食欲はない。昼食は白いご飯だけ茶碗2/3くらい食べた。夕食はご飯3口くらい。お肉は喜んで口に入れたけど、ちょっと噛んでべーする。でも薬はがんばって飲んでいる。ゆきえらい!
アンパンマンの春まきぼうやが気に入ったようで、「ありがとパリパリ!」とずっと真似していた。私がいると昼寝しないので、やはり夕方は少しぼーっとしてくる。「じゃ、また明日ね」と5時ごろ出た。出る時は無視している。返事もバイバイもなし。テーブルに濡れガーゼを並べていた。
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