主治医T先生からのメール(2000.10.26)


退院のお話

ご無沙汰いたしておりますが,いかがお過ごしでしょうか.
友紀野さんのお母様やご兄弟が感冒症状を示されているとのことですが
友紀野さんの血液状態は,堅調であり
血算のデータでは正常範囲に到達しております.
特に,血小板数は,14万を越えました.
この程度あれば,出血症状が問題となることはありません.
血小板数は,骨髄の拒絶,原病の再燃,GVHDを微妙に反映するものでありますが,
その懸念はないと言えます.
もちろん,血小板は,通常の感冒症状を呈するウィルス感染でも低下します.

白血球数が15000近くまで増加し,
原病の再燃が危ぶまれましたが
単球数は増加しておらず
末梢血表面マーカーでも,移植前に認めたCD34陽性細胞の増加はみられず
骨髄にも異常な細胞は見あたりません.
そして,何よりも,血小板数が増加しておりますので
再燃とは無関係かと思われます.
2ヶ月時点での骨髄細胞のキメリズム解析結果が楽しみです.

今までは,サイトメガロウィルス感染症(の前段階)のため
ホスカビルの投与で,点滴から離脱ができませんでしたが,
全身状態は改善しており,全身状態をみるかぎり,点滴につながれているのは不合理
に見えました.
しかし,数年前まではホスカビルが,適切には使用できなかったため
サイトメガロウィルス感染には大変苦労したものです.
サイトメガロウィルス感染は,元気になりかけた頃に起こるので,油断は禁物だった
わけです.
そこで,友紀野さんにもこの1ヶ月は,元気なのに点滴という状態でがんばっていた
だきました.

その呪縛がなくなったため,病院にいる必要はなく,外泊をお勧めしたわけです.
人がまばらな場所への外出も可能です.
混雑時間を避ければ,スーパーや公園への散歩も可です.
下記のガンマグロブリン投与の必要がなくなれば,
ディズニーランドのようなところも可とします.
長時間の日向ぼっこは避けてください.

食事は,グレープフルーツを除き,とくに制限はなく,
生ものも特に避ける必要はありません.

そう言うわけで,ようやくoutpatientの状態を実現できました.
つまり,退院です.

今後の予定ですが,
抗CMV抗体高力価のガンマグロブリンを週1回の投与を,
移植後100日程度まで続けます.
また,徐々に,免疫抑制剤を減量して参ります.
最初に,ステロイドの減量を優先します.
プログラフはしばらくこのまま続けます.
ステロイドがある程度まで減量できたところで
プログラフの減量を検討します.
これらは,すべて外来で行うことができます.
ただし,当センター外来の処置室のスペースが狭いので
ガンマグロブリン投与は,day入院で行います.
Day入院とは,5東病棟の病室を借りて行うもので,入院と外来の折衷形式です.
他の病院では,外来の処置室で行うところが少なくありません.
病院によっては,血液センターの献血ルームの血液採取室のようにあるような椅子を
設置して
そこで,輸血や化学療法迄行ってしまうところもあります.
当センターでは,
輸血,ガンマグロブリン点滴,静注でない点滴による抗癌剤投与,鎮静を必要とする
検査(CTやMRI)等は
day入院で行うように決められています.
これらは,ショックや呼吸停止のような副作用が,数は少ないですが報告されてお
り,
スタッフの配置上,そのように決まったようです.

以上を総合して,
10月30日には定期ガンマグロブリンを投与して退院としたいとおもいます.

ご両親には,その前にお話を致したいとおもいます.
お二人ご一緒というのは,お子さんが多いので大変かと思いますし
お父様が,10月30日にわざわざ仕事を休まれるほどの病状でもないので,
お父様へのお話は,10月29日(日)の夕方等はいかがでしょうか.
同様のお話を10月30日,お母様にお話しする,
あるいはその時に,前日のご説明での疑問点をお出しいただく
というのはいかがでしょうか.
もちろん,お二人そろってというのは可能ならば,構いません.
10月28日(土)以外なら可能です.

2000年10月26日


友紀野のタンポポ畑
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